※本記事は公的機関や専門機関の公開情報をもとに、一般向けの健康情報として整理したものです。医療行為や診断・治療を目的としたものではありません。体調に不安がある場合は医療機関へご相談ください。
鉄分とは?体の中でどんな働きをしているのか
鉄分(Fe)は、体にとって欠かすことのできない必須ミネラルのひとつです。
最もよく知られている働きは、血液中で酸素を運ぶことです。
赤血球に含まれる「ヘモグロビン」は鉄を中心に構成されており、肺で取り込んだ酸素を全身へ運ぶ役割を担っています。
また鉄は血液だけでなく、体のさまざまな場所で利用されています。
主な働き
・赤血球のヘモグロビンとして酸素を運ぶ
・筋肉内のミオグロビンとして酸素を貯蔵
・細胞のエネルギー代謝を助ける酵素の構成成分
・神経機能や発達の維持に関与
成人の体内にはおよそ3〜4gの鉄が存在するとされ、その多くが血液中のヘモグロビンとして使われています。
鉄分が不足するとどうなる?
鉄分不足は段階的に進むことが知られています。
①貯蔵鉄の減少
体内の貯蔵鉄(フェリチン)が減少します。
この段階では自覚症状はほとんどありません。
②赤血球の形成が低下
鉄不足により赤血球が十分に作られなくなります。
③鉄欠乏性貧血
ヘモグロビンが低下し、体にさまざまな不調が現れます。
主な症状
・疲れやすい
・息切れや動悸
・顔色が青白い
・集中力の低下
・めまい
・爪の変形(スプーンネイル)
酸素を運ぶ力が弱くなるため、全身のエネルギー効率が低下すると考えられています。
鉄不足になりやすい人
鉄分不足は誰にでも起こる可能性がありますが、特に注意が必要とされる人がいます。
・月経のある女性
・妊娠中の女性
・乳幼児
・成長期の子ども
・頻繁に献血する人
・消化器疾患などがある人
特に女性は月経によって鉄が失われるため、男性より必要量が多く設定されています。
鉄分の推奨摂取量(日本人の食事摂取基準2025年版)
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人の推奨量は以下のように設定されています。
| 区分 | 推奨量 |
|---|---|
| 成人男性 | 7.5 mg / 日 |
| 成人女性(月経なし) | 6.0 mg / 日 |
| 成人女性(月経あり) | 10.5 mg / 日 |
女性は月経による鉄損失があるため、推奨量が高く設定されています。
なお、血液損失量には個人差が大きいため、必要量も人によって変わる可能性があります。
鉄分には2種類ある(ヘム鉄と非ヘム鉄)
鉄分には大きく分けて2種類があります。
ヘム鉄(動物性)
肉や魚に含まれる鉄です。
特徴
・吸収率が比較的高い
・食事成分の影響を受けにくい
主な食品
・レバー
・赤身肉
・カツオ
・マグロ
非ヘム鉄(植物性)
野菜や豆類、穀物などに含まれる鉄です。
特徴
・吸収率が低い
・他の栄養素の影響を受けやすい
主な食品
・小松菜
・大豆
・きくらげ
・海藻類
鉄分の吸収を高める食べ合わせ
非ヘム鉄は、食事の組み合わせによって吸収率が変わります。
吸収を助けるもの
・ビタミンC(柑橘、キウイ、ブロッコリーなど)
・動物性タンパク質(肉・魚)
吸収を妨げる可能性があるもの
・ポリフェノール(コーヒー、緑茶)
・フィチン酸(穀物、豆類)
・カルシウム(大量摂取)
たとえば
小松菜+レモン+肉料理
のような組み合わせは、鉄の利用効率を高める食べ方とされています。
鉄分の摂りすぎは大丈夫?
鉄分は必須栄養素ですが、過剰摂取には注意が必要です。
体内に過剰な鉄が存在すると、活性酸素の生成に関与する可能性が指摘されています。
特にサプリメントなどで大量摂取する場合は注意が必要とされています。
なお「日本人の食事摂取基準2025年版」では、成人の耐容上限量(UL)は設定が見送られました。
これは安全性が確認されたわけではなく、過剰摂取のリスク評価が難しいためとされています。
そのため、医療目的を除き、推奨量を大きく超える長期摂取は控えることが望ましいとされています。
鉄分はサプリメントから摂る方法もありますが、一般的にはまず食事からの摂取が基本とされています。
鉄分を食事から取り入れるコツ
鉄分はサプリメントだけでなく、食事からも摂ることができます。
鉄を多く含む食品
・レバー
・赤身肉
・あさり
・煮干し
・乾燥きくらげ
・小松菜
また、調理器具として鉄製の鍋や鉄瓶を使用すると、微量の鉄が溶け出すことがあります。
これなら、お茶を淹れたりお味噌汁を作ったりするだけで、自然な形で鉄分が溶け出してくれます。サプリを飲むよりずっとゆるく続けられるし、何より自然なのが嬉しいですよね。
最近は可愛いキャラクターものからシンプルな卵型まで、いろんな鉄たまごが出ているので、ぜひお気に入りの相棒を見つけてみてくださいね。
ただし、鉄瓶などは使用後に水分を残すと錆びやすいため、乾燥させて保管することが大切です。

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まとめ
鉄分は、酸素を運ぶ働きを中心に体のさまざまな機能に関わる重要なミネラルです。
不足すると、疲れやすさや集中力の低下などにつながる可能性があります。
特に女性や成長期の子どもは不足しやすいため、日常の食事で意識的に取り入れることが大切とされています。
肉や魚などのヘム鉄と、野菜や豆類などの非ヘム鉄を組み合わせながら、バランスの良い食事を心がけることが基本になります。
参考文献
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2025年版)
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202308055A-buntan22.pdf
厚生労働省 eJIM「鉄」
https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/overseas/c03/07.html
厚生労働省 eヘルスネット「鉄」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-022

