※本記事は公的機関や研究機関の公開情報をもとに、一般向けの健康情報として整理したものです。医療行為や診断・治療を目的としたものではありません。体調に不安がある場合は医療機関へご相談ください。
忙しい毎日に、静かな集中をもたらす成分?
仕事や勉強に集中したいとき。
けれど緊張しすぎると、逆にミスが増えてしまうこともあります。
そんな「集中とリラックスのバランス」に関わる成分として、近年あらためて注目されているのが、L-テアニンです。
これは主に緑茶に含まれるアミノ酸の一種で、緑茶の「旨味」に関わる成分として知られています。
近年の研究では、ストレスの軽減や注意力との関係についてさまざまな検討が行われています。
もちろん万能な成分ではありません。ただ、日常の飲み物の中に含まれている成分としては、なかなか興味深い特徴を持っています。
まずは、このテアニンという物質の基本から見ていきましょう。
テアニンとはどんな成分?
テアニンは、緑茶に多く含まれる非タンパク性アミノ酸です。
一般的なアミノ酸は体内でタンパク質の材料になりますが、
テアニンは少し性質が異なります。
研究では、テアニンが血液脳関門(BBB)を通過して脳に届く可能性が報告されています。
そのため、脳内の神経伝達物質と関係する作用が研究されてきました。
テアニンを多く含む食品
テアニンの主な摂取源は、やはりお茶です。
特に含有量が多いとされるのは次の種類です。
テアニンが多いお茶の例
1.玉露
2.抹茶
3.上級煎茶
4.番茶
5.ほうじ茶
玉露や抹茶は「被覆栽培」という方法で育てられるため、
テアニンがカテキンへ変化しにくく、旨味成分が多いとされています。
テアニンが脳に働く可能性
テアニンが注目されている理由は、リラックスと覚醒のバランスに関係する可能性です。
現在までに、いくつかの作用メカニズムが提案されています。
① グルタミン酸との関係
テアニンは、脳の興奮性神経伝達物質グルタミン酸と構造が似ています。
そのため研究では、
・神経の過剰な興奮を抑える可能性
・神経伝達のバランス調整
などが検討されています。
② 神経伝達物質への影響
研究では次の神経伝達物質との関係も指摘されています。
・GABA
・ドーパミン
・セロトニン
これらは気分やストレス反応と関係するため、精神的な落ち着きとの関連が研究されています。
③ α波との関係
テアニン摂取後にα波(アルファ波)の増加が観察されたという研究もあります。
α波は一般的に
・リラックス
・穏やかな覚醒状態
のときに現れやすい脳波とされています。
認知機能への研究結果
テアニンについては、注意力や認知機能に関する研究も行われています。
いくつかの臨床研究では、約200mgのテアニン摂取によって
・注意課題の反応時間
・作業記憶
などに変化が見られたという報告があります。
ただし重要なのは、研究結果にはばらつきがある点です。
例えば欧州食品安全機関は、健康効果の因果関係についてはまだ十分な証拠がないという慎重な立場を示しています。
つまり現時点では、「可能性が研究されている段階」と理解しておくのが自然でしょう。
緑茶のストレス研究:CE/TA比とは?
日本では静岡県立大学の研究チームが、緑茶のストレス緩和作用についてCE/TA比という指標を提案しています。
これは次の成分の比率です。
CE
・カフェイン
・EGCG(カテキン)
TA
・テアニン
・アルギニン
つまり「リラックス側の成分」と「覚醒側の成分」のバランスを見る考え方です。
研究ではCE/TA比が低いほどストレス緩和効果が期待される可能性が示唆されています。
テアニンを取り入れる緑茶の淹れ方
面白いことに、お茶は淹れ方によって成分バランスが変わります。研究では次の方法が紹介されています。
低温で淹れる
60℃程度の湯、または冷水で淹れると
・カフェイン
・カテキン
の抽出が抑えられるため、テアニンとのバランスが変化するとされています。
一番茶を選ぶ
一番茶は
・テアニン
・アミノ酸
が比較的多い傾向があります。玉露や上級煎茶が「旨味が強い」と言われるのもこのためです。
3煎目以降は成分バランスが変化
研究では
1煎目
2煎目
までは比較的バランスが良いものの、3煎目以降はテアニンが減り、カフェインの割合が高くなる可能性があると報告されています。
サプリメントで摂る場合の注意
テアニンサプリメントも市販されています。
研究でよく使われる量は100〜250mg程度ですが、利用する場合にはいくつか注意があります。
確認しておきたいポイント
・信頼できるメーカーか
・成分表示が明確か
・体調変化がないか
また、
・睡眠薬
・抗不安薬
・抗てんかん薬
などを服用している場合は、医療専門家に相談することが勧められます。
まとめ:テアニンは日常の中の穏やかなサポーター
テアニンは緑茶に含まれるアミノ酸のひとつで、リラックスと集中のバランスとの関係が研究されています。
現時点では
・ストレスとの関係
・注意力との関連
などが示唆されていますが、医学的効果が確定しているわけではありません。
それでも、お茶という日常の飲み物の中にある成分として考えると、少し興味深い存在かもしれません。
参考文献
[L-テアニンが認知機能に与える影響:集中力・記憶・実行機能を科学的に読む | 100年健康] (2025.10.12 更新)
[緑茶の機能性及び疫学に関する研究:テアニンのストレス緩和作用 | 静岡県立大学 茶学総合研究センター] (2024年 参照)
[日本緑茶のストレス緩和作用:テアニン・アルギニンに対するカフェイン・エピガロカテキンガレートのモル比を用いた評価 | 静岡県立大学] (2025年 参照)

